こんにちは!「野球くじ研究所」の所長、球研 所長(きゅうけん しょちょう)です。
2026年7月、NPBのオーナー会議で、野球のスポーツ振興くじを導入するかどうかを検討することが了承されました。
そこで気になるのが、「これまでに、くじの対象が増えた例はあるの?」という点ではないでしょうか。
実はあります。
2020年の法改正で、サッカーに続いてバスケットボール(Bリーグ)がスポーツくじの対象に加わりました。
この記事では、その経緯を年表で整理し、野球くじとの違いと注目点を、現時点の情報にもとづいて解説します。
この記事の結論
- バスケットボールは、2020年12月9日公布の法改正で、サッカーに続くスポーツくじの対象競技になりました。
- 販売が始まったのは2022年9月。法律の公布から約1年9か月かかっています。
- Bリーグのくじ「WINNER」は、試合結果を予想するタイプです。NPBが検討するのは「非予想系」に限った案なので、前例がそのまま当てはまるわけではありません。
- 野球くじでは、運営する機構の決め方、関係者の購入禁止、収益の行き先、国会での論点の4つを見ておくとよいでしょう。
- 野球くじの発売時期や法改正の要否は、現時点で確認できた報道では示されていません。
1. 年表で見る:スポーツくじの対象は「サッカー」から広がった
まず、スポーツ振興くじの流れを年表で確認します。
| 日付 | 出来事 | 補足 |
|---|---|---|
| 1998年5月20日 | スポーツ振興投票の実施等に関する法律を公布(同年11月に施行) | 当初の対象はサッカーの試合 |
| 2000年10〜11月 | 静岡地域限定でテスト販売 | |
| 2001年3月 | 全国で販売開始 | |
| 2020年12月2日 | 参議院本会議で改正案が可決 | 報道による |
| 2020年12月9日 | 改正法を公布(法律第71号) | 対象にバスケットボールを追加 |
| 2022年9月26日 | 新しいくじ「WINNER」の発売が始まる | 報道による。B1は9月29日の開幕から対象 |
| 2026年7月16日 | NPBオーナー会議が、野球のスポーツ振興くじの導入検討を了承 | 非予想系に限定する前提と報道 |
注目したいのは、公布から販売開始までの時間です。
2020年12月9日の公布から2022年9月26日の発売まで、約1年9か月ありました。
この間に何が行われたのか、確認できた資料には記載がありません。
ただ、「法律が変わった日」と「買えるようになる日」は同じではない、という点は押さえておきたいところです。
野球くじについても、導入が決まれば、すぐ買えるとは限りません。
2. 2020年の法改正で何が変わったのか
2020年の改正は、バスケを加えただけではありません。主な変更点を3つに分けて見ていきます。
2-1. 対象競技の追加と「1試合予想」
改正法は、対象をサッカーに加えてバスケットボールにも広げました。
あわせて、試合の結果だけでなく、競技会の経過や結果(たとえば優勝チームの予想)も投票の対象にできるようになりました。
提出された法律案の要旨によると、「単一の試合の結果を予想する投票」も実施できるようにする内容でした。
これが、のちのWINNER(1試合予想)につながっています。
2-2. 競技ごとの運営機構と、関係者の購入禁止
同じ法律案の要旨には、サッカーとバスケットボールのそれぞれについて、全国で一つの機構(一般社団法人)を指定できる、という内容がありました。
競技ごとに「試合や大会を運営する窓口」を決める考え方です。
また、その機構の役員や職員が、自分の競技のくじを買うことは禁止されます。八百長を防ぐための仕組みです。
2-3. 収益の使い道の拡大と「5年後の見直し」
公布された法律の概要では、日本スポーツ振興センター(JSC)が、機構の費用の一部を支援できる規定が新しく設けられました。
収益で行える事業も広がり、施設の安全設備の整備、医療従事者の研修・派遣、選手の職業・生活の支援などが加わっています。
さらに、施行から5年を目途に、制度のあり方を見直すことも定められました。施行は公布から10日後です。

3. 国会ではどんな議論があった?
法案の提出者は、自民・公明・立憲民主・日本維新の会の4会派でした。
参議院の文教科学委員会では、12月1日に可決されたと報じられています。日本共産党とれいわ新選組は反対しました。
なお、この報道は日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によるもので、反対の立場からの記事である点に注意してください。
報じられた論点は主に3つです。
- 購入上限
1試合予想は予想しやすくなり、高額購入者が出るのではという懸念が示されました。提出者は購入上限を「いまは想定していない」と答えています。 - 誹謗中傷
SNSで選手や審判が傷つけられる心配が出ました。提出者は「選手の安全確保に万全を期したい」と述べるにとどまりました。 - 八百長・財源
反対した側は、1試合予想でお金が絡むと不正が入りやすくなると指摘しました。スポーツ振興の財源は、不安定なくじに頼らず国が確保すべきだとの主張もありました。
賛成・反対の双方に言い分があります。
ここでは、どんな点が論点になったかを知っておくことが大切です。
4. Bリーグ側の動きは?
WINNERは、Jリーグ・Bリーグの試合から好きな1試合を選んで予想するくじです。
Bリーグはこのくじに初めて参画しました。
発売開始を伝える報道では、当時の島田慎二チェアマンが、新型コロナの影響でクラブ経営が厳しい中、収入の一部が還元されることを大きな意義と語っています。
JSCの発表資料でも、WINNERの売上の一部がBリーグのクラブに還元されるとされています。
バスケの1試合予想は、「何点差でどちらが勝つか」を選ぶ形式です。
不正への備えも進みました。
法律そのものが、Bリーグの関係者によるくじの購入や賄賂の授受を禁じています。
さらにBリーグは、規約で情報漏洩や試合結果に影響する行為を禁じ、その範囲を広げています。
くじの収益が実際にクラブの経営をどれだけ支えたのかは、今回確認できた資料では分かりませんでした。
数字が出ていない以上、効果の大小は断定しません。
5. 野球くじとの違いを比較表で整理
では、Bリーグの例と野球くじの検討状況を並べてみましょう。
| 項目 | Bリーグ(バスケ)の例 | 野球くじ(現時点) |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | スポーツ振興投票法の対象(2020年改正で追加) | 確認できた範囲では、現行法の対象はサッカーとバスケ。野球は対象外 |
| 進み具合 | 2022年9月から販売中 | オーナー会議が導入検討を了承した段階(2026年7月16日) |
| くじの型 | 試合結果を予想するタイプ(WINNERの1試合予想) | 「非予想系」に限定する前提と報道 |
| 収益の行き先 | クラブへの還元など | 競技人口の減少対策や指導者育成、裾野拡大が背景と報道。詳細は未定 |
| 発売時期 | 開始済み | 未定 |
違いの核心は「くじの型」です。
Bリーグが関わるWINNERは、結果を自分で予想するタイプです。
一方、NPBが検討しているのは、コンピュータが結果を選ぶような「非予想系」に限った案だと報じられています。
なお、JSCの公式ページには、コンピュータが試合結果をランダムに予想するバスケットボールのくじ「DUNK」も紹介されています。
自分で予想しないタイプのくじが、バスケにも用意されているとみられます。
ただし詳細は確認中のため、ここでは存在の紹介にとどめます。
つまり、「競技が増えた」という前例は参考になりますが、「予想系を野球でも」という前例にはなりません。
野球くじと予想系の関係は、ベッティング型の解説記事でも整理しています。

アメリカや韓国など、ほかの国の制度との比較は、海外の野球ベッティング事情の記事で整理しています。
6. 野球くじで注目したい4つのポイント(球研 所長の見方)
ここからは、Bリーグの例を参考にした所長の見方です。確定した情報ではありません。
6-1. 「運営する機構」をどう決めるか
サッカーとバスケでは、競技ごとに全国で一つの機構を指定する仕組みが法律案に盛り込まれました。
野球くじでも、窓口となる団体をどう位置づけるかが論点になるかもしれません。
NPBが前面に出るのか、別の組織になるのかは、現時点で不明です。
6-2. 関係者の購入禁止と、過去の八百長事件
選手や球団職員がくじを買えない仕組みは、野球でも大切な論点になるでしょう。
球界には、1969年の黒い霧事件という苦い歴史があります。オーナー会議の報道でも、この事件が背景として触れられました。

6-3. 収益の行き先
Bリーグの例では、収益の一部がクラブに還元されると説明されています。
野球では、競技人口の減少への対策や、指導者の育成が背景として報じられています。
どう配分するかは、オーナーと選手会の会談でも話題になりました。
6-4. 国会でどんな点が問われるか
2020年の審議では、購入上限と誹謗中傷が質問されました。
野球は注目度が高いので、同じ論点がより強く問われる可能性があります。
ここは、野球ファンとして見守りたい点ですね。
7. よくある質問
- Bリーグは、いつからスポーツくじの対象になりましたか?
-
法改正は2020年12月9日に公布されました。くじ「WINNER」の発売開始は、報道によると2022年9月26日で、B1は9月29日の開幕から対象です。
- Bリーグのくじは、自分で予想するタイプですか?
-
WINNERの1試合予想は、バスケの場合「何点差でどちらが勝つか」を選ぶ形式です。自分で予想して選ぶタイプにあたります。
- 野球が対象になるには、法律の改正が必要ですか?
-
確認できた範囲の報道では、法改正の要否や時期は示されていません。バスケは法改正で加わったので、野球も同様の手続きが必要になる可能性はありますが、現時点では断定できません。
- スポーツくじは何歳から買えますか?
-
19歳以上です。19歳未満の人は、投票も譲受けもできず、払戻金も受け取れません。WINNERは1口200円から買えます。
- 売上の一部はBリーグのクラブに入りますか?
-
JSCの発表では、WINNERの売上の一部がBリーグのクラブに還元されるとされています。金額や配分の細かい割合は、今回の確認では分かりませんでした。
8. まとめ:球研 所長の考察
今回のポイントを整理します。
- バスケは2020年12月9日公布の法改正で、サッカーに続くくじの対象になった
- 発売までは約1年9か月。導入決定と発売の間には、準備期間がある
- Bリーグのくじは予想系。野球で検討中の非予想系とは型が違う
Bリーグの例は、「対象競技は広げられる」ことを示す一方、野球くじがどうなるかまでは教えてくれません。運営機構、関係者の購入禁止、収益の行き先、国会の論点の4つが、これから注目の的になりそうです。
なぜ今まで実現しなかったのかという背景は、なぜ野球くじは長年なかったのかで解説しています。制度が動いたら、この記事も更新します。
参考にした情報源
- 衆議院「スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案(第203回国会)」要旨
- 衆議院「同法律(法律第71号・令和2年12月9日公布)」
- 衆議院「スポーツ振興投票の実施等に関する法律(平成10年法律第63号)」
- 文部科学省「スポーツ振興くじの沿革」
- 日本スポーツ振興センター「スポーツ振興くじ(toto・BIG・WINNER・DUNK)」
- 日本スポーツ振興センター 発表資料(2026年8月3日)
- 三井住友銀行「スポーツくじ WINNER」
- ITmedia ビジネス「バスケットボールが『スポーツくじ』の対象に」(2021年2月25日)
- しんぶん赤旗(2020年12月2日)
- SPREAD「Jリーグ、Bリーグが新スポーツくじ開始」
- SPREAD「JSCが新スポーツくじを発売」
- 日本法令・ビジネス法務の記事「Bリーグのルールメイキング2」(2024年6月12日)
- デイリースポーツ「野球振興へ『スポーツ振興くじ』導入検討」(2026年7月17日)
