こんにちは!「野球くじ研究所」の所長、球研 所長(きゅうけん しょちょう)です。
野球くじの話題で、意外と見落とされがちな疑問があります。
「そもそも、くじを運営するのは誰なの?」というものです。
現在のスポーツくじ(toto・BIG)を運営しているのは、日本スポーツ振興センター、略して「JSC」という組織になります。
この記事では、JSCが何をしているのか、そして野球くじが実現する場合にどう関わりそうかを、2026年10月時点の情報で整理します。
この記事の結論
- 現在のスポーツ振興くじは、法律上、独立行政法人の日本スポーツ振興センター(JSC)が実施主体
- JSCの仕事は、くじの実施だけではなく、収益の助成先を決める(審査を経て決定する)ところまで
- 現行の法律が対象にしているのはサッカーとバスケットボール。野球が入るには法改正が必要
- 野球くじでもJSCが運営するのかは、現時点では報道で確認できない(2026年7月の報道は「スポーツ振興くじ」の枠組みを検討、とだけ伝えています)
1. 早見表:JSCと野球くじ
| 知りたいこと | わかっていること | 野球での扱い(2026年10月時点) |
|---|---|---|
| くじの実施主体 | JSCが法律に基づき実施 | 未確認(運営者の報道なし) |
| 対象の競技 | サッカーとバスケットボール | 野球は対象外。法改正が必要 |
| 収益の行き先 | 3分の2が助成、3分の1が国庫 | 野球向けの配分は未定 |
| 助成を決める人 | JSCが第三者の審査委員会を経て決定 | 野球での仕組みは未定 |
2. JSC(日本スポーツ振興センター)とはどんな組織?
JSCは「Japan Sport Council」の略称で、2003年10月に設立された独立行政法人です。文部科学省の所管で、スポーツの振興を担っています。
くじ以外の仕事も幅広くあります。
国立競技場の運営、学校の災害共済給付、国際競技力の向上、ドーピング防止などです。
公式サイトの業務一覧に「スポーツ振興投票等業務(スポーツくじ)」と「スポーツ振興のための助成業務」が並んでいます。
つまりJSCは「くじを売る会社」というより、スポーツ全体を支える公的な組織の中に、くじの仕事がある形です。
3. くじでJSCがしている3つの仕事
法律(スポーツ振興投票の実施等に関する法律)をもとに、JSCの役割を3つに分けて見てみましょう。
① くじを実施する(法第3条)
法律は、JSCがスポーツ振興投票(いわゆるスポーツくじ)を実施できると定めています。第2条では、対象を「サッカーまたはバスケットボールの試合」などと書いています。野球が含まれていないことが、法改正が必要と言われる理由です。
② 販売などの一部を委託できる(法第18条)
JSCは、投票券の販売や払戻金の支払いといった業務を、銀行などの金融機関に委託できます。2001年に始まった第一期は、りそな銀行(当時は大和銀行)に委託する形でした。2006年からはJSCが直接運営する方式に変わっています。
なお、現在の販売の細かい体制までは、今回の取材では確認できていません。
③ 集めたお金の配り先を決める(助成)
JSCは助成の要綱を作り、地方公共団体やスポーツ団体からの申請を受け付けます。そのうえで、第三者で構成する審査委員会に意見を聞き、助成先・対象事業・助成額を決めます。交付後も、使い道が適切かの管理と、結果の公表をします。
くじの「運営」と「お金の配り方」の両方を、同じ組織が担っている点が大きな特徴です。

4. 売上はどう流れる?(2024年度の例)
くじの売上がどう分かれるのかを、公式の説明に沿って見ていきます。
売上から、当せんした人への払戻金、経費などを引いたものが「収益」です。
法律は、払戻金に回す額の上限を売上の2分の1と定めています(法第13条)。
収益のうち、3分の2はスポーツ振興の助成に、3分の1は国庫に納められると、公式サイトなどで説明されています。
規模の目安として、JSCの発表によると2024年度(令和6年度)の売上は約1,336億円で、過去最高でした。前年度から約11.0%の増加です。
そのうち、予想しない「非予想系」(BIGなど)が約1,215億円、予想して買う「予想系」が約121億円でした。売上の約9割を、非予想系が占めている計算です。
助成の累計は、JSCの発表では2002年から(2024年度の配分額を含む)約2,668億円とされています。
お金の使い道そのものは、別の記事で詳しく見ています。気になる方は、あわせてご覧ください。
5. 助成はどう決まる?「全額は出さない」仕組み
JSCの助成には、はっきりした特徴がいくつかあります。
まず、事業費の全額は助成しません。団体の自主性・自立性を守るためで、助成の割合は事業ごとにJSCが定めます。
次に、助成の対象は大きく4つに分かれます。
- 施設整備(グラウンドの芝生化、老朽施設の改修など)
- スポーツ行事などの活動(地域スポーツ、ジュニア育成、指導者研修など)
- 国内で開かれる国際競技会
- スポーツ振興基金(優秀な選手・指導者への個人助成を含む)
さらに、地方公共団体への助成と、地方公共団体が出資するスポーツ団体への助成の合計は、助成可能額の半分とする方針も示されています。
野球は、少年野球や草野球、女子野球など、さまざまな主体が関わる競技です。もし野球が対象になった場合、誰がどの枠で申請できるのかは、これから決まる部分です。
6. 野球くじになったら、JSCはどう関わる?
ここからが、野球くじ研究所ならではの整理です。
2026年7月16日のオーナー会議について、共同通信配信の記事は、プロ野球が「スポーツ振興くじ」に加わる検討を始めることで一致したと報じました。
ただし最終決定ではなく、次の段階は、アマチュア団体も含めた野球界全体での協議だとされています。
NPBの事務総長は、コンピューターが結果のパターンを選ぶ「非予想系」に限る考えを示しました。
一方で、この報道にはJSCの名前も、法改正の話も出てきません。ですから、次のような点は「現時点では不明」です。
- 実施主体:現在の枠組みどおりJSCになるのか
- 助成の枠:野球専用の枠ができるのか、既存の枠に加わるのか
- 申請できる団体:プロ・アマの誰が対象になるのか
「スポーツ振興くじ」の枠組みを使う前提なら、法改正を経てJSCが実施主体になる、という見方は自然です。ただし、これは筆者の推測であり、公式に決まった話ではありません。


前例としては、バスケットボールが対象に加わったときの流れが参考になります。くじの全体像との違いは、toto・BIGと野球くじの違いの記事もご覧ください。
7. よくある質問
- JSCとは何の略ですか?
-
日本スポーツ振興センター(Japan Sport Council)の略称です。2003年10月に設立された独立行政法人で、スポーツくじの実施や助成、国立競技場の運営などを行っています。
- 野球くじもJSCが運営するのですか?
-
現時点では決まっていません。2026年7月の報道は「スポーツ振興くじ」の枠組みを検討するというもので、運営者には触れていません。現行法の対象はサッカーとバスケットボールなので、野球が加わるには法改正が必要です。
- くじの収益は、誰が使い道を決めているのですか?
-
JSCが助成先・対象事業・助成額を決めます。その際、第三者で構成する審査委員会の審議を経ることになっています。
- 個人でも助成を受けられますか?
-
助成の申請は、主に地方公共団体やスポーツ団体が対象です。優秀な選手・指導者への個人助成は、スポーツ振興基金の仕組みで行われています。個人が自由に申請できる補助金ではない点に注意してください。
8. まとめ:球研 所長の考察
スポーツくじの運営主体はJSCで、集めたお金の配り先を決める役割も担っています。「くじの運営」と「お金の行き先」が、同じ組織の中でつながっているのです。
野球くじがその枠に入るなら、JSCが関わる可能性は十分あります。ただし、運営者や助成の枠は、現時点では何も決まっていません。
私が注目しているのは、次の3点です。
- 野球を対象にする法改正が、いつ・どんな形で行われるか
- 野球専用の助成枠ができるか
- プロとアマが、どんな形でお金を分け合うか
これらの発表があれば、この記事も更新していきます。引き続き、「野球くじ研究所」をよろしくお願いします。
全体の整理は、野球くじ総合まとめにまとめています。野球ファンが最初に知りたかった疑問は、なぜ今まで野球くじは無かったのかや、最新情報の記事でも整理しています。
(2026年10月28日時点の情報です。制度は未確定のため、最新の報道・公式発表をご確認ください。)
